マゼランの未知なる大陸への挑戦は物語性の強い曲であり、壮大なドラマの情景が次々と展開されていきます。
演奏にあたっては、演奏者が各シーンに明快なイメージを持つことで聴衆への説得力がきっと増すことでしょう。
序奏
Scene 1
1-8(小節番号)
外海の波とうねり
c-moll
Scene 2
9-28
船の船首で掻き分けられる波、次第に姿を表す帆船
29-44
移行部(bridge) リズム上行・ベルトーン上行
嵐、敵襲(battle)
Scene 3
45-89
荒れ狂う嵐の海、または外敵と格闘する船員たちの勇ましい姿
ブルーノートスケール(Bluenote Scale)を使用しているのが特徴です。
c-moll → a-moll 短3度下に転調
悠然と広がる海
Scene 4
作曲者による楽曲解説にある
「悠然と広がる海の大きさ、あたたかさ」を描いた部分でしょう。
89-106
穏やかで美しい海、外洋の壮大な夜明けなどの叙情的な海の情景が描かれます。
99でEs Durに転調
スコティッシュなフルートソロ(装飾音符が鍵)が静まると・・・
舞踏と祭り
Scene 5
107-190
船乗りの最大の楽しみは何と言っても上陸!
見知らぬ土地の祭りを楽しむ船員たちの様子や人々とのふれあいなど
が描かれているようです。
Es Dur → Bb Dur → C moll → gmoll
191-209
移行部
Scene 2 移行部を準用
S2 (c-moll)では、リズム上行 7小節 +ベルトーン上行 9小節
S5 (g-moll)では、リズム上行10小節 +ベルトーン上行 9小節
と前半部分が拡大されています。
夢への航海 (終結部)
Scene 6
210-247
世界一周を果たせないまま命の尽きたマゼラン
そんな彼の果てしない夢が描かれるシーンです。
8分音符(2分割系)と2拍3連符(3分割系)の交錯が、夢への尽きせぬ想いや
まだ見ぬ大陸への憧れ、そして到達できないもどかしさなどを感じさせます。
F DurからAs Durへの短三度転調(上)はポップスでよく使われる手法で、
前の部分をさらに先へ進めて拡大させる効果があります。
<楽曲解説>
大航海時代、世界一周の偉業を成し遂げたマゼラン一行ですが、マゼラン本人は航海中に死んでしまいます。歴史に「if」はありませんが「もしマゼランの魂が現世に残り、世界一周を続けたなら・・・」と“未知なる”マゼランの航海をイメージして作りあげました。
地球一周航海途中、死を迎えたマゼランの魂はそれだけを求め、世界中を駆け巡ります。そこには今までに見た事のない世界が彼を待ち受けます。幾多の未知なる大地、未知なる海・・・それらの世界に触れ続けたマゼランの魂はやがて地球全てを制覇するのです。
この曲には、自然という大きな力に人間という矮小なものが挑む姿が描かれています。悠然と広がる海の大きさ、あたたかさ、強さ、狂暴さ、恐ろしさなどさまざまな姿が表出されると共に、マゼランの自己の信念に基づき真実を追い求める姿が表現されています。
尚、レンタルにあたり打楽器のリズム等少々録音とは異なる部分がありますが、これは校正時に「こうした方が良いのではないか」と思い変更いたしました。ご了承下さい。
(樽屋雅徳)
NEW CREATION from CAFUA CAFUA RECORDS