コンサートやコンクールの事前に行うホール練習
いつもの練習場ではなく、広いホールでの演奏です。
たくさんの時間や予算を使うのですから、しっかりと準備したいものですね。
ホールは楽器の響きを補完、拡張してくれる素晴らしい楽器です。
特に管楽器や打楽器の一部は、弦楽器やピアノのような共鳴体がありませんので、ホールの持っている固有の残響を利用して、美しい響きを作って行くことが出来ます。
ホール練習ってなんのためにやるの?

「来週の土曜日、ホール練習します」って先生が言ってたけど
どうしてホールに行って練習するのかな?
学校じゃダメなのかな?



コンサートやコンクールが実際に行われるような場所で、練習をするのがホール練習ね。
本番の環境にできるだけ近い場所の中で、音の響き方や演奏者の配置、進行要領などをチェック。
年間の演奏活動の中でも大切なイベントの一つね。



ホール練習でやることや注意したいことをまとめてみたので、良く読んでみてね。
ホール練習でやりたい4つのこと
ポイントは次の4つです。
- 配置の確認
- 響きの確認
- 本番に向けてのサウンド作り
- 本番当日の行動確認
それでは一つづつ見ていきましょう!
配置の確認
まずはセッティングです。
本番と場所が違うことがほとんどでしょうが、可能な限り本番に近い配置を準備していきましょう。
各奏者の配置
それぞれの演奏者の位置です。
事前に配置図を準備しておくとスムースに進行できます。
譜面台や楽器スタンドの位置
必要な譜面台の数と配置も、事前に配置図に書き込んでおきましょう。楽器スタンドの必要なパートもありますのでスペースを確保しておきます。
距離と間隔
各奏者の前後の距離、横位置の奏者との間隔です。ホールの大きさに左右されますが、奏者が演奏しやすく、客席で見て聞いて見て、バランスの取れた配置にします。
ひな壇の位置、段数、配置楽器
これも事前に配置図を作成しておいた方が圧倒的に楽です。上記の各奏者の配置、譜面台の位置とともに客席から見てできる限り奏者が重ならないように配置します。
打楽器セクションの配置
2つの方法が一般的です。舞台下手側(客席から見て左側)、若しくはひな壇後列の最上部です。演奏曲目やプレオヤーの数、移動のし易さなどを考慮しましょう。
響きの確認
ホールは練習場と比較すると、音響効果が優れています。
天板、側板などの反響板を使用し客席に豊かな音が届くように設計されていますし、客席の壁面や天井にも音の乱反射を防止する工夫が施されています。
ホールでは音がよく響くのは、皆さんも経験されたことがあると思います。
これは残響時間(楽器音が消えるまでの時間)が長いからですね。ホール側から残響時間が公開されている場合も多いので、当日までに必ずチェックしておきましょう。



ホールに来て音出ししたらすごく響いて気持ちイイ!
でも、いつもと違って他のパートが聞こえずらいし、打楽器こんなに大きな音だったんだ。



ホールは練習場と比較すると響き過ぎて、いつも聞こえる音が聞こえずらいとかアタックやリズムが遅れて聞こえるなどの違和感が起こることがあるの。



まず最初に、響きや音の鳴り方をステージ上と客席からチェックしましょう。
ホール練習の効率が上がるように、各楽器の位置や発音タイミングなどをしっかり認識できるようにすることね。





こんなことをチェックするんだね。
- パート内の聞こえ方
- 他のパートやセクションの聞こえ方
- 打楽器セクションの粒立ちや音の大きさ
- 全体のバランス
本番に向けてのサウンド作り
響き方の確認(音の定位や聞こえ方)が終わったら、演奏曲のリハーサルに入っていきましょう。
ここでのチェックポイントは本番でどのように聞こえるか。どのように聞いてもらいたいのかを皆でイメージし、調整して、指揮者を中心に最も良い状態へと整えていくことです。
- ソロはよく聞こえているか
- メロディ、ハーモニー、対旋律、低音などの音楽的諸要素はくっきりと鳴っているか
- 練習時のダイナミクス設定で良いか(必要なら変更して修正)
- パートやセクションのバランスは良いか(必要なら変更して修正)
- マスキング(他の音で消されること)されている部分はないか
- 音は拡散せず、しっかりした指向性と響きを持っているか



チェックしなきゃいけないことがいっぱいあるんだなぁ。
演奏してると分かりずらいから指揮者がチェックするのかな?



そうね、指揮者が中心になって決定していくけど客席から聞いてみる
ってことがとても重要なのよ。
トレーナーさん、学生指揮者さん、団員指揮者などがいるバンドは
その人たちがチェックして、指揮者に修正してもらうのが良いわね。
行動確認
最後に演奏には直接関係なさそうだけど、意外に重要なのが管理的な事柄です。
コンクールやコンサートは晴れの舞台です。上がってしまったり、忘れ物をして右往左往したりと、中々普段の精神状態で過ごすことができにくい環境下に入ります。
本番当日は搬出、搬入、セッティング、待機、本番、撤収etc.を、いつもとは違う環境の中で、たくさんの人と関わりながら淡々とこなしていかなければなりません。中々にハードなのです。



そうそう。僕もクリーニングスワブや忘れて困ったことあったなぁ。
あと時間もしっかり把握しとかないと慌てちゃうよね。



ホール練習を本番のタイムスケジュールを意識してやるのと、ただやるのとでは大きな違いが出ると思うわ。
本番のシミュレイトをやるには絶好の機会ね。
良い演奏を行うには、音楽以外の準備がとても重要なのよ。



こんなことをチェックしよう!
- 本番当日のスケジュール
- 準備物件(バンドおよび個人)
- 各人の役割分担
- 動線の確認(人の移動、楽器の移動、物の移動)
- 安全管理(ホールには突起物や暗所が多い)
まとめ


ホール練習では
「配置」
「響き」
「本番でのサウンドつくり」
「本番当日の行動」
の4つをチェック!



楽しく思い出に残るイベントにしてくださいね!



よ~し。がんばろう!