現在ではジャズのスタンダードナンバーとしてよく取り上げられ
不朽の魅力を放つ名曲 ”フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly me to the Moon ”
日本でも多くのミュージシャンや歌手がプレイしており、音源も多数出ていますね。
その中でも、少し異色の香りを放つエヴァのフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのお話です。
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンの原曲は3拍子だった
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンの作曲者は、アメリカ人のパート・ハワード。
歌詞も自身によるものですが、原曲は3拍子だったのですね。
この名曲の原曲名やヒットの初動については、以下から引用させて頂きました。
1954年に、作詞家・作曲家のバート・ハワードによって制作されたもので、初演はニューヨークのキャバレー “Blue Angel” において披露、ヴォーカルのフェリシア・サンダーズ(英語版) の歌唱によるものであった[1]。ただし、この時の曲のタイトルは “In Other Words”(対訳「言い換えると」)であり、拍も3⁄4拍子で、現在広く認知されているアレンジとは装いをかなり異にしていた。この「In other words」という台詞は歌詞の中にも登場しており、現在でも本作をカバーする際に “Fly Me to the Moon (In Other Words)” というタイトルにするアーティストがいる。同年にはヴォーカルのケイ・バラード(英語版)によりデッカ・レコードにて初めてレコーディングされた。その数年後(1960年)に、ペギー・リーがアルバム『プリティ・アイズ(英語版)』収録曲の一つとしてレコーディング(タイトルは “In Other Words”)、同時期にTV番組『エド・サリヴァン・ショー』に出演し本作を歌唱。これが切っ掛けで本作は広く知られるようになった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンの初テイクを聴いてみる
1954年(昭和29年)68年前の録音ですが、ケイ・バラードのふくよかな歌声と洒脱なアレンジが
風格としっかりとした存在感を感じさせる良いテイクですね。
また、フェイドアウト処理せず、音源が切り取られる様に終わる感じもいいですね。
’60年代に現在の4拍子バージョンに
1964年(日本では東京オリンピックが開催された年ですね)
フランク・シナトラがカバーした4拍子バージョンが大ブレイク
その原因の一つとなったアメリカのアポロ計画について再度引用させていただきました。
シナトラが本作を発表した1960年代、アメリカ合衆国はアポロ計画の真っ只中にあり、本当に『月に連れて行って貰える』のは「非常に近くまで迫っている、近未来の出来事」であった。そのため本作「Fly Me to the Moon」は一種の時代のテーマソングのように扱われ、これが本作のヒットにつながった。シナトラ・バージョンの録音テープは、アポロ10号・11号にも積み込まれ、人類が月に持ち込んだ最初の曲になった[2]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン
シナトラ版のアレンジを担当したのはクインシー・ジョーンズ
ノルウェー・オスロ出身の歌手、アンジェリーナ・ジョーダンのリハーサル動画で聴けます。
今聞いても、めちゃくちゃカッコいいです!
ボサノヴァが良く似合う
シナトラは、クインシーのキレのいい4ビートのビッグバンドをバックに歌い込んでいます。
でもこの曲、ボサノヴァが一番似合うんです。
ナベサダのインストで聴いてみました。
管理人がJazzを聴き始め、Jazz喫茶やライブに夢中になり、Jazzの魅力にとりつかれた20歳前後
ナベサダ(渡辺貞夫氏)はヒーローでした。
新宿のPit inや、今は無くなってしまったけど銀座のJunkで、ナベサダをかぶりついて聴いてました。
そのナベサダが、2022年現在89歳という驚異的な年齢でライブ活動を継続されているのは本当に凄いことです!
少しだけ癖のあるイントネーションや、ストレートでピュアな音色は一切色褪せてないから凄い!
エヴァが日本でのフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン大ブレイクを作った
エヴァの世界観とシンクロしたフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
1995年に放送の始まったテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』
そのキャラクターや物語性、関連映画やコンテンツなどは、約30年経った現在でも多くの人を魅了し続けています。
そのアニメのエンディング・テーマに使われたのが”フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン ”でした。
スケール感の大きいエヴァの世界観と大きく異なるこの曲が、アニメに絶妙にマッチしているのは
主人公シンジを始めレイ、アスカ、ミサトなど登場人物の心の状態に、この曲のテイストがシンクロしたのだと思います。
(画像を押すと別ページのYouTubeへ飛びます。そちらで再生してください。)
迷い、求め、安らぎへと向かうコード進行
詳細は別記事で書きたいと思いますが、この曲のコード(和音)進行にエヴァとのシンクロの秘密がある様です。
曲はマイナー・コード(短調の和音)で始まりますが、一旦長調になります。
でもすぐに翳って、中間部まではゆっくりと螺旋を描く様に短調へと向かっていきます。
後半の繰り返しの前に、また長調に転じますが、すぐに懐疑的になり短調へと下降していきます。
再び冒頭の旋律が帰ってきて歌われますが
今度は後半部分で大きな和声展開があり、最後は長調になり終わります。
原曲に指定があるかはわかりませんが、この長調への変換フレーズが繰り返し演奏されることが多い様です。
迷い、悩み、求め、解決と安らぎに向けて進んで行こうとする主人公たちの姿を思い起こさせるのです。
鷺州マジックが別天地へと誘った
テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の音楽を担当したのは鷺洲詩郎氏です。
近作では”シン・ゴジラ”や”シン・ウルトラマン”の音楽を担当、庵野 秀明監督とのユニットも約30年続いているのですね。
特にエヴァに提供した氏の作品は、現代性、オリジナリティ、音楽性に優れ、群を抜いています。
また庵野監督の意向もあるのでしょうが、バッハやなどのクラシック曲の採用、編曲センスも抜群のクォリティを有しています。
鷺州氏の編曲の中で特にオススメしたいのが、ストリングスのアレンジです。
イントロに流れるストリングス
やっぱり、エヴァのフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンが最高!
その訳がこのアレンジです!
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