合奏を仕上げていくプロセスの中で、まず最初に作っておきたいのがテンポ(Tempo)とリズム(Rhythm)ですね。
基準音価とは
「基準音価」 あまり聞きなれない用語かもしれませんが、
曲を演奏するとき、他の演奏者と共有する基準となる音価(音の長さ)のことです。
これを共有することでテンポや拍節感(拍の進み方)リズムなどを簡単にスッキリと合わすことができます。
実際に例を見ながら確認していきましょう。
基準音価の例と設定方法
冒頭から6小節間の中で最も大きい音価は全音符、最も小さい音価は16分音符です。
まず全音符では、拍子や拍の進み方(拍節感)が分かりません。
16分音符は、フレンチホルンとサクソフォーン、ティンパニの一部に出現するだけなので全体の基準にはなりません。
ティンパニの叩いている4分音符が良さそうですが、3小節目に出てくる付点4分と8分音符のリズムに対応できません。
結論として8分音符がこの部分の基準音価としてふさわしいということになります。
続く練習記号Aからの基準音価は、一拍三連符が適当です。
複数の基準音価が同時進行することも多い
次の例を見てみましょう。
最初の2小節間は一拍三連符と16分音符の2つの基準音価が、異なるセクション間で同時進行しています。
3小節目から出る金管とサクソフォーンの基準音価は、11拍間は8分音符、その後は一拍三連符に切り替えます。
こちらは、同一セクション内で基準音価が変化している例になります。
基準音価は細かいほど正確に演奏できる
基準音価は、適正に細かいほど正確な演奏が可能になります。
「基準音価の例と設置方法」と同じ譜例を使ってご説明していきます。
ティンパニの4拍目裏、3小節目-4小節目の8分音符がカウントされないので、ピッタリと合わない可能性があります。
コントラバスは良いが、ピアノ・低音木管が不揃いになる危険性が大きくなります。
参考楽譜:ハンニバルの剣 アトリエ・エム
こちらも忘れてはならない、ビート感!
基準音価は主に拍節感(拍の進み方)を整えてくれます。
それに加えて拍子(beat)と拍子が持っている小節内でのエネルギー循環を加えると、リズムやテンポが生き生きと颯爽と進んでいくようになります。
拍子については別の記事で紹介していきたいと思います。
まとめ
この記事では「基準音価」の大切さについて紹介してきました。
なんとなくセーノじゃもちろんダメだけど、基準音価を決めて演奏すればより正確に演奏できることがわかったよ。
同時進行する時やセクション内で音価が変化することもあるんだね。
その場面ごとに基準音価を設定することと、より適正に細かいほうが正確な演奏につながることも覚えておいてね。