合奏って楽しい!吹奏楽の活動ってコンクールだけじゃないはずだ!
その思いは今も変わりません。
このブログは、2015年5月に管理人ホームページから投稿したものです。
7月も下旬になり、まさに吹奏楽コンクール真只中の時期に入りました。
各地の梅雨明けとともに開始された各支部でのコンクール、すでに熱い戦いが全国で繰り広げられているようです。
毎年数千団体が参加し競い合うこのコンクール、私も中学生時代の3年間、連続で九州地区大会に出場した経験があります。
しかし、「音楽を評価し序列や優劣」を付けることがコンクールの目的ではどうもないようですね。
私には、『演奏技術を競い合う審査』の比重が非常に高い、まだまだ過渡期のコンペティションだという印象が強いです。
合奏を楽しむためのロジック(論理)
「オーケストラは、行き着くところ個人が大事。結局、音楽は一人一人の個人のものだから。」
指揮者の小澤征爾さんの言葉です。
しかしまた、違う生活環境や異なった教育を受けてきた人々が集うオーケストラでは「他を認め合うことが大切だ。」ともおっしゃっています。
経験された方はご存知のように合奏では、他者との共同作業による演奏で、一人では絶対に経験できないような音楽的経験を得ることができます。
しかし人間が作り上げたこの合奏、「演奏技術」や「合奏技術」さらに「音楽解釈」においても論理の裏付けがあるはずです。
よく言われる「音楽は感情表現の芸術」というカテゴライズは、音楽の一面しか捉えていないと思います。さらに、感情を表現するためには、ロジカルな方法によらないと人には絶対伝達されないと思います。
人を惹きつけて離さない「合奏」の魅力。
その合奏をさらに楽しむためには「ロジック(論理)」を知っておくのが近道ですし、確実な道です。
徳島県立脇町高等学校吹奏楽部に伺って
7月上旬に、私の拙曲「天の逆鉾〜交響組曲高千穂」をコンクールで取り上げて頂く徳島県立脇町高等学校吹奏楽部に伺ってリハーサルを拝見しました。
県立脇町高校は、徳島県美馬市にある全校生徒数約600名の進学校です。その一割に当たる60名が吹奏楽部員、土曜日の練習に伺いました。
顧問の先生に伺ったところ、3年生は受験のため2年生の3学期末で引退するため、1・2年生のバンド、また1年生の多くが初めて楽器を持つ生徒さんということでした。
楽器の更新や練習場等には苦労が絶えないということでした。
今回はB団体でコンクールに参加、県大会「金」がまず目標とのことでした。
最初にクラリネット・パートの技術指導を1時間ほど行った後、合奏を聴かせていただきました。
リコメンドしたこと
チューニング方法や基礎合奏のやり方で、十分なノウハウをお持ちでなかったので、その辺りからお話し実践してもらいながらリハーサルを進めました。
ノウハウとは「論理に裏付けられた合理的な手法」です。
これを知っているか知らないかでは、演奏技術向上に大きな差が出てくると思います。
当日リコメンドしたことを、幾つか書き出してみます。
◯ 基礎合奏の目標は、他者と『一つの楽器』を作ること。
◯ 透明な響き
現在、吹奏楽で取り上げられる作品のほとんどは、西洋クラシック音楽の機能和声学に基づいて作られており、
ほとんどのTuttiは4声〜5声に集約できる。
各声部で「透明で均一な響き」を作り上げていれば、全体として統一された美しい響きとなる。
◯ 均一性の確保とシェア
個人・パート・セクション・全体
それぞれにおいて
・ アインザッツ(アタック・発音)
・ 音程(ピッチ)
・ インターバル(音程の階段)
・ リリース(消音・切り)
均一化し、共有する。
◯ 吹奏楽は「直線音で演奏する」音楽
曲線音ではピッチが合わない。
楽な音量で、できるだけ長く、遠く上空に響かせるように
ロングトーンが最も効果的
管楽器の魅力 = 音色
◯ 倍音とマクベス理論
◯ 気持ち良い演奏をするために
管楽器は体鳴楽器
歌と共通
演奏者が気持ち良い
聞いている人が気持ち良い
◯ 演奏の3つの状態
1 楽器が鳴らない 離反
2 楽器が鳴っている 結合
3 身体が響いている 一体
など。
合奏は楽しい!ロジックを知ってもっと楽しもう!
合奏とは「聴く」ことです。
演奏に必要な力以外を抜いたリラックスした良い姿勢で、良い音色のイメージを持って「アタック」「コア」「リリース」に注意、そして、他の奏者の音を聴くことに全力を傾注。
そこには自分の出せない世界や色彩が。
そこに加わっていく自分。
合奏の楽しさや醍醐味、やった人にこそ分かる世界です。
◯ 個人・パートで問題意識を持つ。無関心が最大の敵。
◯ 問題点を共有し、解決策を図る。
◯ 再度評価し、問題点を摘出する。
当日は、合奏向上の考え方のプロセスもお話ししました。
徳島県の吹奏楽コンクール、高等学校部門は来週末です。
コンクールが部活動の最終目標ではないとは思いますが、全力を発揮できますことを祈念しております。
コンクールは残念ながら減点方式です。
でも、技術的にマイナス点をつけられても、
音楽を演奏すること、
皆で一つの世界を作る合奏の楽しさは
是非いつまでも忘れないで欲しいなと思っています。
カテゴリ: 2015年7月